捨印は何のためにあるのか?

契約書などで欄外に点線などで囲んであり「捨印」と書かれた箇所があることがあります。

この捨印を"押印が不鮮明だったときの予備"と認識している人が多いですが、勘違いです。
ひどい人になると、印鑑についた朱肉を落とすためにある、と思っていたり、「捨」という字に反応して、全然関係のない三文判を押そうとする人まで出てくるが笑えないことです。
捨印の本当の意味を知らないと、後々大惨事にもなりかねない重要なものです。

通常記入項目を訂正する場合、修正箇所に二重線を引いて訂正印を押すのが普通ですが、書類提出後に誤記に気がついたりした場合、また本人に書類を変換して「訂正してください」とやりとりをするのは面倒なことになるため、

「訂正があったらそっちで勝手に修正しておいてください」
「今後修正箇所があったらこちらで修正してもいいですか?」

という、契約者から機関に対して訂正を委任する意味を含んでいます。

第三者に訂正をゆだねるため、改ざんされる惧れもあります。
したがって、公的な金融機関などであれば、改ざんすることはまずないでしょうが、心無い不動産屋などにひっかかった場合、敷金を契約書を書いた時点では1月分だったのに、いつの間にか2か月分にされていたとしても、「訂正していいよ」と言ってしまっているため、泣き寝入りするしかありません(そもそもそんな悪徳行為を働く企業がもしあったなら、争おうとしたら返り討ちにあう可能性がありますよ)。

そんな危険をはらんでいるため、捨印はよく考えてから押したほうがいいです。
基本的には「押さない」構えのほうが無難です。
押さないと契約書が無効になる、などといったことはまったくありません。

金融機関などで、金銭を扱うような書類(口座開設とか)の場合、そもそも「訂正」することができない(間違っていたら書き直し)ため、捨印は存在しないはずです。

なお、捨印を使用したときの訂正方法は、
訂正箇所に二重線を引き、その前後左右に訂正内容を書き、捨印の上に「○○文字削除、△△追加」などと書き添えます。

参考:訂正印の使い方は?